目的と業種で変わる最適な広告戦略を徹底解説します。
広告選びは「媒体の特徴 × 自社の特性」で決まる
「Google広告とSNS広告、どっちに予算を使うべき?」
これは企業のWeb担当者や経営者から最も多く相談されるテーマの1つです。
しかし、単純に「どちらが良いか」を比較するのは正しくありません。
広告の成果は 商材・ターゲット・集客導線・顧客心理 によって大きく変わるためです。
例えば──
- 「困った…」「急いで探している」ユーザーが多い業種
- 「見て可愛い」「体験したい」という感性で選ばれる商材
- BtoBのように比較検討が長い商材
- 地域密着で店舗に来てもらう必要があるビジネス
などによって、媒体の相性が大きく変わります。
本記事では、筆者の広告運用の経験と実際の企業事例をもとに、
どの企業がどちらの広告を優先すべきか をE-E-A-Tの観点から解説します。
Google広告とSNS広告の違いを捉える
まずは両者の根本的な性質を整理します。
Google広告
- 検索意図が強い顕在層にリーチ
- 今すぐ必要なユーザーに広告を届けられる
- 検索ワードの温度感がそのまま「購入意欲」につながる
→「探している」「悩んでいる」「今すぐ欲しい」に強い
SNS広告(Instagram / X / Facebook / TikTok)
- 興味に近い潜在層にリーチ
- 画像・動画による視覚訴求に強い
- フォローや保存によるファン化がしやすい
- 若い層・感性で選ぶ商材と相性が良い
→「かわいい」「気になる」「体験したい」が中心となる
ユーザーの心理段階(行動フロー)で分けると下記の通り:
| 段階 | 最適広告 |
|---|---|
| 認知 | SNS広告 |
| 興味 | SNS広告 |
| 比較検討 | Google広告 |
| 申し込み・購入 | Google広告 |
商材がどの段階で選ばれやすいかで、媒体が決まるのです。
E-E-A-Tの観点で広告選びを考える
近年のGoogleはE-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)を検索だけでなく、
広告の品質スコアにも影響させています。
Experience(経験)
実際のユーザー体験から考えると、 “今すぐ必要”な商品は Google に流れやすい。
Expertise(専門性)
専門性が高い商材(士業・工事・修理)は検索意図が強い。
Authoritativeness(権威性)
業界内で信頼される企業は Google で検索される頻度が高い。
Trustworthiness(信頼性)
- SNS広告は、投稿内容・レビュー・ユーザーの反応が信頼補強になる。
- Google広告は、検索結果の“比較性”が信頼につながる。
つまり、E-E-A-Tのどの要素が強い業種かによって、「優先すべき広告」が変わります。
企業事例で理解する「Google広告で成果が出たケース」
地域のリフォーム会社(顕在層への強さが圧倒的)
リフォーム業界は「探す・比較する・相談する」という流れがはっきりしており、ユーザーは“今すぐ業者を探している”状態で検索します。
- 「◯◯市 リフォーム」
- 「外壁塗装 価格」
- 「キッチンリフォーム 相場」
このようなキーワードは高単価ですが、問い合わせ1件の価値が大きいため費用対効果は非常に良い。
成果イメージ
- Google広告経由:月0件 → 10件の問い合わせ
- SNS広告:いいねは増えるが資料請求につながらない
顕在層 × 高単価商材の最適解はGoogle広告
BtoB(製造業・法人サービス)
BtoBではSNS広告の効果は限定的です。
理由は明確で、
- SNSは業務目的で使われない
- 購買プロセスが長く、比較検討が必須
- 情報の正確性が最優先される
このため、BtoBは Google広告が主戦場になります。
成果イメージ
- 資料請求・問い合わせが増加
- 中小・大手問わず「検索は有力媒体」
法人サービスは Google広告ほぼ一択
SNS広告の方が圧倒的に成果が出た企業事例
美容サロン(視覚訴求の力が大きい)
美容室、ネイル、脱毛、パーソナルジムなどは、GoogleよりSNSのほうが圧倒的に成果が出やすい。
理由:
- ビフォーアフター写真で魅力が伝わる
- 店舗の雰囲気が視覚的にわかる
- 若い層は検索よりSNS内で情報収集
成果イメージ
- SNS広告 → 月30件の予約
- Google広告 → CPCは高いが予約につながりにくい
“見て選ぶ商材”はSNSが強い
アパレル・雑貨・インテリアEC
SNS広告が強いケースの典型。
- 衝動買いが多い
- デザイン性が重要
- おしゃれな写真で一気にファン化
特にInstagramは「購買意欲が高いSNS」として知られています。
視覚・感性で選ぶECはSNS広告が強い
広告を選ぶ基準は「業種 × ターゲット × 目的」
広告の優先順位は、以下の3つの軸で決まります。
業種
| Google広告向き | SNS広告向き |
|---|---|
| リフォーム | 美容 |
| 士業 | アパレル |
| 医療 | 雑貨EC |
| BtoB | インテリア |
| 修理・工事 | 飲食店(カフェ) |
ターゲット
- すぐに必要 → Google広告
- 見て惹かれる → SNS広告
目的
- 問い合わせ・資料請求 → Google広告
- 予約・来店数UP → SNS広告
- ファン作り → SNS広告
- 高額商材の比較検討 → Google広告
結論──両方やるのが正しいが「優先順位は明確」
Google広告を優先すべき企業
- 顕在層が多い
- 検索意図が明確な業種
- BtoB
- 高額サービス
- 修理・工事・医療・士業
SNS広告を優先すべき企業
- 美容・健康系
- アパレル・雑貨
- 飲食店
- 若年層ターゲット
- 魅せるコンテンツがあるビジネス
両方やるべき企業
- サービスの導線が「認知→検討→申込」に分かれている
- 例:EC、クリニック、美容サロン、コンサル、SaaS
SNSで認知を増やし、Googleで顕在層を獲得する。
これが最も効率的な広告戦略です。
広告は「媒体選び」ではなく「戦略設計」
広告の成功は「どの媒体を使うか」よりも“自社の強み × 顧客の心理 × 導線設計” によって決まります。
- 検索される業種 → Google広告
- 見た目・雰囲気が重要な商材 → SNS広告
- ファン化が重要な商材 → SNS広告
- 高単価・比較商材 → Google広告
広告の目的を誤らなければ、限られた予算でも驚くほど成果は変わります。
あなたのビジネスが
「誰に」「どんな価値を」「どの段階で伝えるべきか」
を明確にすることが大切です。
余談:E-E-A-Tが広告のスコアに直接影響するのか?
これは“厳密には間違い”。ただし、間接的には強く影響します。
- 広告の品質スコアに E-E-A-T が直接組み込まれているわけではない
- しかし 広告ランディングページの品質要素に E-E-A-T 的な指標が含まれており、結局は影響する
Google公式の立場
Google広告の品質スコアは以下の3要素のみです:
- 推定クリック率(CTR)
- 広告文の関連性
- ランディングページの利便性(品質)
このうち 3のランディングページ品質 は、検索アルゴリズムと共通部分があり、その中に E-E-A-T と類似する要素が含まれます。
ランディングページ品質にE-E-A-Tが「間接的に」含まれる理由
Googleは広告のヘルプ文書で、以下を明示しています:
- 信頼できるサイトであること
- 正確で明確な情報
- 透明性のある運営(会社概要・連絡先)
- 安全な接続(SSL必須)
- ユーザーに誤解を与えないこと
- 嘘や扇動的な情報はNG
これらはまさに E-E-A-Tの「T=Trustworthiness(信頼性)」そのもの。
さらに SEO と同様に、
- 医療・金融・法律などのYMYL領域は特に審査が厳しい
- Google広告でも“実体性の確認”が重要になっている
など、E-E-A-T的な要素が広告品質にも影響しています。
具体的にどう影響するのか?
信頼性の低いLPは広告審査で落ちる(または制限される)
- 会社情報が無い
- SSL未対応
- 内容が薄い
- 誇大表現がある
こうしたLPは 「広告不承認」や「制限付き配信」 になりやすい。
これは明確にE-E-A-Tの「T」的な要素が絡んでいます。
医療・金融などは実質E-E-A-Tが必要
例:
- 脱毛サロン
- 整体
- 医療系(美容医療含む)
- 保険
- 投資系サービス
- 高額コンサル
Google広告では 正式な資格・根拠・実績の記載 を強く求められます。
これもE-E-A-Tです。
LP品質が低いと品質スコアが下がる
LP品質は以下で判断されます:
- コンテンツの信頼性
- 正確性
- 説明の丁寧さ
- ユーザーが求める情報量が足りているか
- 誇張や嘘がないか
- 運営者が誰か明確か
- SSLの有無
これ、ほぼ E-E-A-Tのエッセンス です。
なので「E-E-A-Tが品質スコアに直接入っている」は誤りですが、LP品質=広告の成果に直結するので、結果としてE-E-A-Tが必要という仕組みになっています。
正しい理解として
LP品質と審査基準にE-E-A-Tが似た要素が強く影響する。ということになります。
