WordPressの将来について、海外コミュニティや制作会社の間でよく議論されているテーマがあります。
それが
「FSE(Full Site Editing / フルサイト編集)は本当に成功するのか?」
という問題です。
WordPress は世界で最も普及しているCMSですが、現在は大きな転換期にあります。
従来の
- PHPテンプレート
- テーマカスタマイズ
という仕組みから、
- ブロック
- パターン
- theme.json
を中心とする FSE(フルサイト編集) に移行しようとしているからです。
しかしこの方向性については、
WordPressの強みを失うのでは?
という声も多く、実際に制作会社の多くはまだFSEへ移行していません。
この記事では
「なぜFSEが失敗する可能性があると言われているのか」
を制作会社の視点から解説します。
FSEとは何か
まずFSEを簡単に説明します。
従来のWordPressテーマはこの構造でした。
header.php
single.php
archive.php
footer.php
つまり
PHPテンプレートでサイト構造を作るCMS
でした。
しかしFSEでは
templates
parts
patterns
theme.json
という構造になり、
サイト全体をブロックで編集できる
ようになります。
例えば
- ヘッダー
- フッター
- 記事テンプレート
などもすべて管理画面から編集できます。
これはサイトビルダー的なCMSに近い思想です。
なぜFSEに懐疑的な声があるのか
ではなぜFSEには反対意見があるのでしょうか。主な理由は5つあります。
理由① WordPressの強みが失われる可能性
WordPressの最大の強みは「開発者の自由度」でした。
例えば
if (is_category()) {
get_template_part(‘archive-category’);
}
のように、PHPで自由にロジックを組めました。
しかしFSEは
- ノーコード志向
- GUI中心
です。
つまり
開発者向けCMS → サイトビルダーに近づいています。
この点に対して「WordPressらしさがなくなる」という声が海外でも多くあります。
理由② 競合CMSが強すぎる
現在のWeb制作環境はWordPressが登場した頃とは大きく違います。
今は
- Webflow
- Wix
- Framer
などの強力なサイトビルダーが存在します。
もしWordPressがノーコードCMSの方向へ進むと、これらのサービスと直接競争することになります。
しかし
- UI
- デザイン
- 操作性
では、これらのサービスの方が完成度が高いと言われています。
理由③ FSEのUIが難しい
FSEのサイトエディタは初心者にはかなり難しいです。
例えば
- テンプレート
- テンプレートパーツ
- パターン
- グローバルスタイル
などの概念があります。
クライアントが触ると「ヘッダーが消えた」「元に戻せない」ということが普通に起きます。
制作会社にとってこれはサポートコストの増加につながります。
理由④ 制作会社が乗り気ではない
WordPressのエコシステムは
制作会社
↓
テーマ開発
↓
プラグイン
で成り立っています。
しかし制作会社の多くは
- FSEにメリットを感じない
- 制作フローが変わる
- クライアント教育が必要
という理由で積極的に移行していません。
実際の現場では
クラシックテーマ + ブロックエディタ
というハイブリッド構成が最も多いです。
理由⑤ 後方互換性の問題
WordPressは後方互換性を非常に重視するCMSです。
つまり
- 古いテーマ
- 古いプラグイン
もできるだけ動くようにしています。
しかしFSEは全く新しいテーマ構造なので
クラシックテーマ
ブロックテーマ
という2つの世界が生まれています。
この分断が今後の課題と言われています。
実際の利用率
2026年時点ではブロックテーマはまだ少数派です。
体感としては
| テーマタイプ | 割合 |
|---|---|
| クラシックテーマ | 約80% |
| ハイブリッド | 約15% |
| FSE | 約5% |
つまり
まだ主流ではありません。
それでもWordPressはFSEを進める
ではなぜWordPressはFSEを進めているのでしょうか。
理由はCMSの未来を作るためです。
WordPressは元々
ブログシステム
↓
CMS
↓
サイトビルダー
という進化をしています。
そして現在はサイトビルダー型CMSを目指しています。
最も現実的な未来
多くの制作会社が考えているのはハイブリッド型です。
つまり
- PHPテンプレート
- Gutenberg
- ブロック
を組み合わせる方法です。
例えば
- テンプレート → PHP
- コンテンツ → ブロック
という構成です。
この形は
- 開発自由度
- 編集のしやすさ
のバランスが取れています。
もう一つの大きな未来
実はWordPressの次の大きな変化はFSEではなく
AI CMS
と言われています。
例えば
「会社サイトを作って」
と入力すると
- デザイン
- ページ構造
- コンテンツ
が自動生成される世界です。
AIによるサイト生成が始まると、CMSの概念自体が変わる可能性があります。
まとめ
FSEはWordPressの大きな挑戦ですが、現時点では
- UIの複雑さ
- 制作会社の反応
- 競合CMS
などの理由から、成功するかどうかはまだ分かりません。
ただし確実に言えるのは
WordPressは今、大きな転換期にある
ということです。
今後数年で
- FSE
- AI
- CMSの形
が大きく変わる可能性があります。
